耐震補強

建物をリフォームする際に、きれいにする、設備機器を新しくするにとどまったリフォームをする事が多いのですが、少しの予算で耐震補強をする事が出来ます。木造住宅の耐震診断の方法としては耐震性能に大きく影響を及ぼす、地盤・基礎、壁の量、壁の配置、劣化にわけて、診断しています。

安易なリフォームは不安の素

阪神大震災の様子

新潟県中越地震では、屋根のふき替えや2階の増築、外壁の張替え、トイレ、キッチン、お風呂のリフォームをし、それぞれの部位の外見はきれいなままなのに、既築部分が壊れて被害を受けた古い住宅が多く見られました。せっかくお金をかけてリフォームをしても、耐震性能を考慮せず、「便利に・きれいに・快適に」ばかりを優先してしまうと、見た目はきれいになっても、結局は古い住宅に住んでいるのと同じである事を改めて認識させられる場面でした。

一度数十万数百万円かけてリフォームをすると、少なくとも十数年は耐震補強したり建て替えたりしなくなります。そうすると耐震性能に問題のある家は不安なまま住み続けることになります。平成12年以前に建てられた家のリフォームを考えるのであれば、必ず耐震診断をうけ「便利・きれい・快適」より優先的に耐震補強対策を検討する事をすすめることをおすすめします。

平成12年以後に建てられた方や地震保険に入ってる方にも耐震診断をおすすめしております。

 

耐震補強の長所と短所

耐震補強の長所

リフォームと耐震補強と同時にすると割安になります。また建物の倒壊を防ぐ事ができます。

耐震補強の短所

耐震診断、耐震補強をするにあたり、それだけの為に壁を壊したり、工事しなければならず費用がもったいないので、リフォームと一緒にする事をお奨めします。診断者によって結果が違う事があるので、補強箇所は余裕をもって多めにしたほうが良いでしょう。

耐震補強の種類

耐震補強には耐震、免震、制振と3段階あります。どの工法がいいのかは、建物の構造や諸条件によって変わってきますので、プロや専門家に相談するのが一番確実といえるでしょう。

耐震

躯体そのものを強固にして、地震に耐えられるようにするため耐力壁を設けて壁量をふやし、構造材を金物等にて接合する考え方、一部のリフォームでも一緒に出来ます。

  1. .地盤・基礎 崖崩れなどの地盤災害は建物を強くしても防ぐ事が出来ないので、耐震補強とは別に地盤補強を実施する必要があります。
  2. 耐力壁 耐力壁は地震時に建物が倒れないように抵抗する壁の事です。耐震診断では地震の強さに抵抗する耐力壁の量を計算して、筋交いや耐震合板、ベニヤなどで補強し耐力壁量を充足します。
  3. 壁の配置 壁はバランスよく配置する必要がある。南の開口を大きくして北側の部屋で壁量のつじつまを合わせようとしても、バランスが悪くなるので注意が必要です。最近では開口部をつけたままで耐震性能を持たせた開口付耐震壁やフレーム工法も開発されており、耐震性能を保持しながら快適な構造計画も可能になっております。
  4. 劣化 蟻害、柱や土台の腐食などにより劣化した部材は、構造性能が劣る為部材を交換する事はもちろんですが、さらに重要なのは今後こうした劣化を発生させない為に原因究明を行い防止する事であります。せっかく部材を交換しても原因を究明しない限りまた同じ事の繰り返しになってします。水の排水経路を特定し遮断したり、換気を十分に行い白蟻の好む環境にならないように改善したりするなどの配慮が必要です。

免震

建物と地盤、基礎の間に免震装置を取り付けて、建物に伝わる揺れを軽減する考え方ですが、リフォームでは出来ません。新築設計段階で検討する必要があります。

制震

躯体の一部に制震パネルや制震ダンパーなどの装置を組む込み地震のエネルギーを軽減する考え方で、リフォームで制震金物の取り付けが可能です。

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